じたばた戦記

2社目もだめ、でも……

不定期に更新されるじたばた戦記。傷だらけの転職人生を語ります。

第2回は映像制作会社の次に入社した会社について。その後の職業人生がやっと決まっていく感じです。

第1回をまだ読まれていない方はこちらからどうぞ!

翻訳チェックをスタート

ボンクラ扱いされていた(そして事実ボンクラ以外の何者でもなかった)映像制作会社を辞め、次に自分が入社したのはソフトウェア会社の翻訳部門です。自社のソフトウェアではなく、他社の英語マニュアルの日本語への翻訳を請け負う会社でした。実際の翻訳作業は社外の方にお願いしていて、社員は進捗管理や最終チェック・納品を行うことになっており、3名体制で対応していました。

翻訳に憧れがあり、読書好き・英語も勉強しているということで、今度こそ自分に向いているはずだと思い、入社試験も突破して意気揚々と取り組んだのですが。だめだめでした。……またか

なにがだめだめかというと、抜け漏れチェックがザルでした。翻訳対象がマニュアルということでページ数も多く、納期もタイトな中、納品前チェックを慎重にやらなくてはならないのですが。一字一句なめるようにチェックしてミスをつぶしていくというのが、完全にはできなかったのです。自分では最大限、渾身の力でやっているつもりだったのに(いや今ならわかるのですが、人間の目はどうしても自動補正してしまうので、読み上げソフトを使って耳からもチェックする、などといった別のチェック方法も導入しない限り、根性だけで完全にミスをつぶすのは難しいかと思います)。

受験生活が長かったせいか、自分は短い時間で大量の文章をざざっと読んで大意をつかむということは得意だったものの、校正する際はそういう読み方とは真逆の読み方をしないといけないんですよ。で、クライアントからはミスを見逃したことで叱られる(当たり前)。ものすごく真剣に熱心に取り組んでいて、なおかつ見落とすんです。へこみますよね。

夜な夜なインターネット

でも、映像制作会社にいた頃とは大きな違いがありました。この頃、インターネットの普及が始まっており、自分はMacをゲットして夜な夜なウェブ日記を更新し、他の人たちと交流していていました。それでずいぶん気が紛れたんです。

昼間は会社でポンコツでも夜帰宅すれば、楽しいオンライン生活が待っていました。いや完全に「逃げ」😓だったんですが、当時、国内でウェブサイトを持っている人がまだ少なかったせいか、メディアなどからも取材され、有頂天になりました。また、HTMLやPerl(Webフォームなどで使う言語、当時はphpとかではなくPerlだったんです)、画像制作などを独学するのもとても楽しかったんですよね。Photoshopが4.0とか5.0の頃だったと思います(CSになる前です)。

会社でも、翻訳チェックはヘボかったんですが、オンラインマニュアルの翻訳なども受注していたので、UNIXやWindows NT(懐かしい……)などを使い、簡単なスクリプトを扱うようになっていて、そちらはとても楽しく作業できました。気が利かないと言われ続けて生きてきたので、「言わなくても察しろ」「気配りしろ」とか言ってこなくて、こちらが命令したこと「だけ」「きちんと」やってくれるなんて、コンピューターってなんていい子なの!と思っていました。

適職は思わぬところから

そうこうしているうちにはた、と気づきました。「私、ITとかWeb制作に向いてるんじゃね?」「映像制作や翻訳チェックはだめでもWeb制作ならできるじゃん!」「今はまだ趣味だけど本業にできるんじゃない?」と。

そこからWeb関連業界に転職し、その後はぶれずに勤められるようになりました。いや転職は続けるんですが(おいおい)、自分の強みを迷わず打ち出せるようになり、「仕事ができない人間なのでは」という自分への疑いが消えることになります。

余談になりますが、当時は貯金もあまりなく、勉強と言えば、本を買って独学するくらいしかできなかったのですが、ずいぶん後になってお金に余裕ができた頃、シナリオ学校や校正の学校に通いました。目的は、この頃のコンプレックスを払拭すること。映像制作にしても翻訳校正にしても、明らかに技術が必要な職種なので、「何も知らない人間がいきなり飛び込んですぐにできるようになるもんじゃない」ということがわかっただけでも救われました(いや未経験で採用してくれた会社には感謝しています。会社としては、長く勤めて、現場の経験からじっくり学んでほしかったのかもしれません。保たなかった自分がだめだめでした)。

すでにWeb制作に転向しているのに関係ない学校に通うなんてお金の無駄じゃん、と他人からは思われるかもしれないですが、心の奥底に「自分はできない奴だ」と思う気持ちが残っているとそれだけで自尊心が削られるので、コンプレックスを払拭できて本当に良かったです。

次回は「外資大企業に転職できちゃった!ラッキー!(でもその後に地獄が待っていた)」というお話について書きたいと思います。第3回へ続く。

-じたばた戦記