50代の危機

突然の死に備える

できれば不吉なことは書きたくないのですが、50代でどうしても考えておきたいのが自分の死後についてのことです。健康に気をつけており、長生きするつもりでいても、事故や災害などで突然命が絶たれてしまうこともあります。

芸能人の死亡ニュースなどでも、「自分と同じ年代のあの人が!」、「まだ若いのに……」とショックを受けることが増えているような気がします。寿命は誰も自分では決められませんが、死後のことを想像し、できる範囲で準備を整えておくこと(終活)は誰にでもできます。今回は50代でどのような準備を整えておくのがよいのかについて記します。

50代になると死亡率が大幅に上昇する

50代に入ると、身体の変化や生活習慣が影響し、残念ながら死亡率は上昇します。この年代では特に、以下の要因に注意が必要です。

生活習慣病の増加: 高血圧、糖尿病、心臓病などの生活習慣病が増加し、これらは突然死のリスクを高めます。定期的な健康診断でこれらの病気を早期に発見し、適切な治療と管理が重要です。

がんのリスク: 50代はがんの発症率が高くなる年代です。早期発見のためのスクリーニングを定期的に受けることが推奨されます。

事故のリスク: 交通事故や家庭内での事故も、この年代の死亡リスクを高めます。日常生活での安全対策を心掛けることが大切です。

心理的ストレス: 職場や家庭でのストレスが心臓病などのリスクを高めることがあります。ストレス管理と適切な休息を取ることが重要です。

これらのリスクを意識し、予防策を講じることで、50代の死亡率を低減させることができます。定期的な健康チェックと適切な生活習慣が、長く健康な生活を維持する鍵です。

死後に何が起こるか

事前の準備が不足している場合、家族や友人に多大な負担がかかることがあります。

遺品の整理: 遺品整理は、遺族にとって精神的にも物理的にも大きな負担となります。特に、整理されていない多量の遺品は、遺族にとって重大なストレス源になり得ます。

遺産分割の問題:遺言を残していない場合、遺産分割に関するトラブルが生じることがあります。これは家族間の争いに発展することもあり、故人の意志とは異なる方向へ進むこともあります。

葬儀の手配: 葬儀について具体的な希望を残していない場合、家族は故人の意志を推測しながら葬儀を手配することになります。これは遺族にとって精神的な重圧となることが多いです。

財務的な問題: 債務や未払いの請求が残っている場合、これらを処理する責任が遺族に及びます。また、故人の資産管理に関する情報が不足していると、遺族は大きな困難に直面することがあります。

これらの問題を避けるためには、生前に適切な準備をしておくことが重要です。

終活で準備すべきこと

終活とは、人生の終末期に備えて準備する活動です。以下のような点に注意して準備を進めると良いでしょう。

持ち物の整理: 知らず知らずのうちに物が増え、ひとりで管理しきれないほどの物を持っている人も多いのではないでしょうか。自分の持ち物を見直し、不要なものは処分することから始めましょう。大切な品物は誰に譲るかを決めておき、遺族が遺品整理を行う際の負担を軽減します。

遺言書の作成: 資産の分配や葬儀の希望など、自分の死後の意向を遺言書に記します。公正証書遺言の作成を検討すると、法的なトラブルを避けることができます。資産がない場合でも、葬儀の希望、遺品の分配などを簡単でもいいので書面として残しておきましょう

葬儀の計画: 自分の葬儀に関する希望(式の規模、場所、宗教儀式の有無など)を家族と共有し、可能であれば事前に葬儀社と打ち合わせを行っておきます

エンディングノートの作成: 自分の死後に関する具体的な希望や指示をエンディングノートに記載します。例えば、財産の分配方法、遺品の取り扱い、自分の死後の家族へのメッセージなどです。

重要書類の整理: 保険証書、銀行口座の情報、不動産の登記簿謄本など、死後に必要となる重要書類を整理し、家族がアクセスしやすいようにしておきます

これらの準備を進めることで、自分自身も安心できるだけでなく、遺族が抱える負担を軽減することができます。

エンディングノートの書き方

エンディングノートは、自分の死後に関する希望や指示を残すための重要なツールです。エンディングノートの書き方について、以下の点を考慮しましょう。

市販のフォーマットの利用: エンディングノートのフォーマットは市販されており、これらを利用すると書きやすくなります。100均のダイソーにもありますし(「もしもに備えるエンディングノート」)、大型書店や文具店、ネット通販などでも購入できます。スマホアプリ版のエンディングノートもあります

個人情報の記載: 氏名、生年月日、家族構成、緊急連絡先などの基本的な個人情報を記入します。

葬儀に関する希望: 葬儀の形式、場所、宗教的な儀式の有無、参列を希望する人物、使用する斎場など、自分の葬儀に関する具体的な希望を詳細に記述します。

資産と負債の情報: 銀行口座、不動産、保険、株式などの資産情報と、ローンや借入金などの負債情報を記録します。

重要書類の所在: 遺言書、不動産の登記簿謄本、保険証書などの重要書類の保管場所を記載します。

遺産分割に関する希望: 自分の資産をどのように分割したいか、具体的な指示を記入します。遺言書と併用する場合は、その旨を記載すると良いでしょう。

家族へのメッセージ: 家族や友人への感謝の言葉や、最後に伝えたいメッセージを書きます。

エンディングノートは定期的に見直し、最新の情報を反映させることが大切です。このノートを作成することで、自分の意志を家族に明確に伝えることができ、死後の手続きをスムーズに進めることが可能になります。

準備しきれないことは諦める

終活においては、すべてを完璧に準備することは困難です。重要なのは、できる範囲で最善を尽くし、完璧主義に陥らないことです。

現実的な目標設定: 自身の時間、エネルギー、資源の限界を認識し、現実的な範囲での準備を心がけましょう。すべての事項をカバーしようとすると、過大なストレスや途中での断念のリスクが高まります。

優先順位の設定: 最も重要な事項から順に準備を進めます。例えば、遺言書の作成や重要書類の整理など、法的・財務的な影響が大きい事項を優先的に扱います。

完璧主義を避ける: 全てを完璧に整えようとすると、かえって何も進まなくなることがあります。例えば、非の打ち所がない遺言書を残すことを目指して結局何も書けないで終わるよりも、箇条書きで要点だけを簡潔に残すだけでも意図は伝わります。完璧ではなく、「何もしないよりも良い状態」を目指し、自分ができる範囲での取り組みを心掛けましょう

家族や友人のサポートを受ける: 自分一人で準備を進めるのではなく、家族や信頼できる友人に相談し、サポートを求めましょう。他の人の意見や手助けが、より効果的な準備につながります。エンディングノートの書き方などについてはセミナーなどもあるので活用しましょう。

進捗の定期的な確認: 定期的に準備の進捗を確認し、必要に応じて計画を調整します。途中で方向性を変えることも、より良い結果につながることがあります。

まとめ

50代は、自分自身の死後のことを真剣に考え、準備を始めるタイミングです。終活は、自分自身の意志を明確にし、残される家族の負担を軽減するための重要なプロセスです。家財道具の整理、エンディングノートの作成、そして準備できることを積極的に行うことで、安心して老後を迎える準備が整います。

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