50代からの海外転職上級

日本語教師について検討する

海外転職を考えた際、日本語教師として働くことを検討した方も少なくないのではないでしょうか。
本記事では海外で日本語教師として働くメリットやデメリットについてご案内します。
筆者も将来的に日本語教師として働く可能性を考え、2012年に日本語教育能力検定試験を受験し、合格しています。

日本語教師とは

日本語教師は、日本語が母国語でない人々に対して、日本語の読み書き、会話、文法などを教える専門職です。しかし、その役割は単に言語の教授に留まらず、学習者が日本の文化や社会についても理解できるよう導くことにあります。例えば、日本の伝統的な行事や現代の生活様式、ビジネスマナーや日常会話での非言語的コミュニケーションの違いなど、言語を超えた文化的背景の理解も重要な教育の一部となります。

なお、2024年4月から国家資格である「登録日本語教員」制度が開始されます。詳細は文化庁国語課の「登録日本語教員の登録申請の手引き」をご参照ください。

具体的な活動例は以下となります。

  • 語彙と文法の指導: 基本的な挨拶から始まり、より複雑な文法構造へと進み、日常会話やビジネスシーンで使用される専門用語を含む幅広い語彙の教授。
  • 会話クラスの運営: 学習者が自信を持って日本語でコミュニケーションできるように、ロールプレイやディスカッションを通じた実践的な会話クラスを提供。
  • 文化教育: 日本の祝日、食文化、年中行事などについて教え、学習者が言語だけでなく文化的な理解も深めることができる授業の実施。
  • 評価とフィードバック: 学習者の進捗を定期的に評価し、個々のニーズに合わせたフィードバックを提供して、継続的な学習を促進。

日本語教師は、学習者が日本語を通じて新たな世界に触れ、異文化を理解し受け入れることができるようサポートする役割を担っています。この職種には、深い言語知識はもちろんのこと、文化に対する理解と教える情熱が求められます。

海外で日本語教師で働くメリット・デメリット

メリット

文化交流の機会が得られる
海外で日本語教師として働く最大のメリットの一つは、異文化交流の豊かな機会を持てることです。例えば、現地の学生や同僚との日常的な交流を通じて、その国の文化や価値観を深く理解することができます。また、日本文化の紹介者として、日本語と共に日本の伝統や現代文化を伝えることで、相互理解の架け橋となります。

年齢制限が比較的緩い
多くの職種では年齢が採用の障壁となることがありますが、日本語教師の職においては50代でも歓迎されることが多いです。経験や人生の知識が豊富な中高年の方が、教師としての深い洞察力や落ち着いた対応が期待されるため、年齢を生かした働き方が可能です。

自己実現できる
日本語教師として海外で働くことは、言語を教えることを通じて自己実現を果たす絶好の機会を提供します。自分の知識や経験を活かして学習者の成長を支援する過程で、大きなやりがいや達成感を得ることができます。

デメリット

給与水準の問題
海外での日本語教師の給与は、地域や勤務条件により異なりますが、一般的に他の職種と比較して低めの傾向にあります。特に生活費の高い都市で働く場合、経済的な面での計画と準備が必要です。

準備と責任の重さ
日本語教師としての仕事は、授業計画の立案、教材の準備、学習者の進捗管理など、多くの準備と責任を伴います。特に初めて海外で教鞭をとる場合、言語だけでなく文化的な違いにも対応する必要があり、その準備には相応の時間と労力が要求されます。

日本語教師になるには

日本語教師になるためには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

  1. 大学で日本語教育を主専攻・副専攻として学んで修了する
  2. 日本語教育能力検定試験に合格する
  3. 学士の学位を有し、かつ日本語教師養成講座420時間コースを受講する

2と3については2024年の国家資格「登録日本語教員」の導入に伴い、今後変わってくると予想されます
2については、2024年より日本語教育能力検定試験から日本語教員試験に移行します。試験合格後に登録実践研修機関での実習研修の修了も必要となります。3については、420時間というのには変わりない模様ですが、研修内容に実践研修が含まれている必要があるようです。詳細は文化庁国語課の「登録日本語教員の登録申請の手引き」をご参照ください。

日本語教師養成講座420時間コースは、通学・通信講座などが多く用意されています。以下のサイトなどをご参照ください。

日本語パートナーズとは

日本語パートナーズは、日本語教師の経験がない方でも、海外で日本語教育の補助を行うことができる制度です。このプログラムは、日本とアジア諸国との文化交流を促進し、日本語教育を通じて相互理解を深めることを目的としています。特に、アジアの学校で日本語が教えられるようになることを支援し、日本語教育の質の向上に貢献することが期待されています。

参加者は、日本語教師としてではなく、教師のアシスタントやパートナーとして、授業の準備や日本文化の紹介、地域社会との交流活動などに携わります。この活動を通じて、参加者自身もまた、現地の文化や言語を学び、国際的な視野を広げる絶好の機会を得ることができます。

日本語パートナーズに参加するためには、一定の条件を満たす必要があり、プログラムによっては応募前に日本語教育の基礎知識を学ぶための研修を受けることが求められる場合もあります。詳細な応募条件やプログラムの内容については、国際交流基金のウェブサイトで確認することができます。

日本語パートナーズは、日本語教育に興味はあるけれども、直接教師として働く経験や資格がない方にとって、海外での教育活動に参加する絶好の入口となります。また、参加者にとっては自己成長の機会であり、現地での貴重な経験を通じて、人生の新たな可能性を見出すきっかけともなり得ます。

日本語教師の採用プロセス

日本語教師として海外で採用されるプロセスは、機関によって異なる場合がありますが、一般的には以下のステップを含みます。

  1. 書類選考
    応募者は履歴書や職務経歴書などを提出します。この段階で、応募者の基本的な資格や経験、日本語教育に対する情熱や適性が評価されます。
  2. 面接
    書類選考を通過した応募者は、面接の機会を得ます。面接では、応募者のコミュニケーション能力、対人スキル、教育に対する考え方、対応力などが評価されるほか、応募者が海外で生活し、働くことへの適応能力についても問われます。面接はオンラインまたは対面で行われることがあります。
  3. 模擬授業
    実際の授業を想定した模擬授業が求められることがあります。応募者は、実際に学習者を前にして日本語を教えるシミュレーションを行い、授業計画の立案、教材の選定、授業運営の能力を披露する必要があります。このステージでは、応募者の教育技術や学習者との相互作用の質が重視されます。
  4. 最終選考
    模擬授業と面接の結果を踏まえ、採用機関は最終的な採用判断を下します。この段階で、応募者の全体的な評価、採用にあたっての条件などが通知されます。
  5. オリエンテーションと研修
    採用が決定した後、海外での勤務開始前に、文化適応や教育方法に関するオリエンテーションや研修が行われることがあります。これにより、応募者は勤務国の文化や教育機関の方針について理解を深めるとともに、実際の授業で必要とされる技術や知識を身につける機会を得ます。

日本語教師の採用情報

日本語教師として海外で働くための情報は、以下のサイトで入手できます。

海外募集の場合、採用条件や応募先企業の信頼性に注意してください(募集要項と話が違った、というようなことも起こるようです)。事前にSNSや他サイトなど、他の方向からも情報を収集するようにしてください。

まとめ

50代から海外で日本語教師として働くことは、文化交流や自己実現の大きな機会を提供します。適切な資格を取得し、採用プロセスに備えることで、新たなキャリアの道を開くことが可能です。経済的な面や準備の負担も考慮しつつ、海外で日本語教師として働くことを検討してみてくださいね。

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