50代からの海外転職上級

駐在員VS現地採用

海外転職に関心を持ち、調べていく際に駐在員や現地採用といった言葉を耳にすることがあるのではないでしょうか。本記事では駐在員と現地採用との違いについて解説します。

駐在員と現地採用の違いとは

駐在員とは、日本企業の海外のオフィスや関連会社で働くために、日本から派遣される従業員のことを指します。一方、現地採用は、勤務地国で直接雇用される従業員のことを言います。駐在員は日本の企業からの給与や福利厚生を受けることが多く、現地採用は勤務地国の条件に基づく給与や福利厚生が適用されます。

駐在員のメリット・デメリット

メリット

給与や福利厚生の維持
駐在員には、日本の企業基準に基づく給与体系と福利厚生が用意されています。これには、高額な海外勤務手当や住宅手当、子供の教育費用支援などが含まれることが多く、経済的な安定感を提供します。

家族の帯同サポート
多くの企業では、駐在員の家族を帯同する場合のサポートが充実しています。住宅の提供、国際学校への入学支援、緊急時のサポート体制など、家族全員が新しい環境にスムーズに適応できるような支援が整っています。

キャリアアップのチャンス
海外での経験は、帰国後のキャリアアップに大きく貢献します。海外市場でのビジネス経験や現地でのネットワーク構築は、将来的に高い評価を受けることが期待されます。

デメリット

駐在員を派遣している企業に在籍する必要
海外駐在員を派遣している企業は一部の例外を除き、大企業であることが多いです(大企業の中でも駐在員派遣をやめてしまった会社もあります)。そのため、駐在員になるには、大前提として、現時点で駐在員を派遣している会社に在籍している必要があります。

文化や環境への適応
新しい国の文化や生活環境に適応することは、大きなチャレンジとなります。言語の壁はもちろん、仕事の進め方や社会的習慣の違いによるストレスを感じることがあります。

一時的な赴任
駐在員としての赴任は基本的に一時的なものであり、数年で日本に戻ることが前提です。そのため、長期的な現地でのキャリア構築や、現地での深い人間関係を築くことが難しい場合があります。

家族の適応問題
家族を帯同する場合、配偶者や子供が新しい環境に適応することが難しいこともあります。

現地採用のメリット・デメリット

メリット

現地文化への深い理解
現地採用の大きなメリットは、勤務地の文化や言語に深く浸ることができる点です。日々の生活や仕事を通じて、現地の価値観や行動様式を身につけることができます。これは、国際的な視野を広げ、多文化を理解する素晴らしい機会となります。

現地のネットワーク構築
現地で採用されることで、同僚やビジネスパートナーなど、現地の人々との関係を築きやすくなります。これらの人間関係は、仕事上はもちろんのこと、プライベートでの支援や相談にも役立ち、現地での生活を豊かにします。

キャリアパスの多様性
現地採用では、企業や業界によって様々なキャリアパスが用意されています。現地での長期的なキャリア形成が可能であり、様々な職種や役職へのチャレンジが期待できます。

デメリット

給与や福利厚生の差
現地採用の場合、給与や福利厚生は勤務地の市場水準に基づくため、日本と比較して劣ることがあります。特に、医療保険や退職金制度など、福利厚生の面で大きな違いが出ることも少なくありません。

言語や文化への適応
現地の言語や文化に適応することは、現地採用の大きな挑戦の一つです。特に、言語能力が仕事のパフォーマンスに直結する場合、初期段階でのコミュニケーションの難しさはストレスとなり得ます

将来的なキャリアの不確実性
現地採用の場合、駐在員と比較して企業からのサポートが限られることがあり、キャリアの不確実性が高まります。長期的なキャリアプランを立てる上で、自身で情報を収集し、将来の展望を明確にする必要があります。

駐在員の配偶者・帯同家族について

駐在員として海外に赴任する際、配偶者や子どもなどの家族を帯同できることはメリットの一つですが、以下のポイントにも注意する必要があります。

配偶者のサポート

就労の機会
多くの国では、駐在員の配偶者が現地で就労するためには特別なビザや許可が必要となります。企業によっては、配偶者の就労支援やキャリアアドバイスを提供する場合もありますが、これは保証されているわけではありません。したがって、配偶者が現地で働きたい場合、事前にビザの条件や就労可能な職種について調査することが必要です。

社会への適応
配偶者にとって、新しい国での社会への適応は難しいことが多く、特に言語の壁がある場合はなおさらです。多くの企業や駐在員支援団体では、言語学習のサポートや社会参加のためのプログラムを提供しており、これらを利用することで、適応を助けることができます。

子どもの教育

インターナショナルスクール
海外赴任の場合、子どもの教育は大きな課題です。多くの駐在員家族は、現地の教育システムとは異なるインターナショナルスクールを選択することが多いようです。これらの学校では、多言語教育や国際バカロレアなど、グローバルな視点での教育が行われています。企業によっては、教育費の一部または全部をサポートしてくれる場合もあります。

社会への適応
子どもたちが新しい環境に適応するためには、学校だけでなく、地域社会との関わりも重要です。スポーツクラブや文化活動への参加を通じて、子どもたちは新しい友達を作り、異文化を学ぶ貴重な機会を得ることができます。

駐在員と現地採用の間の対立

同じ職場で日本人の駐在員と現地採用スタッフの両方がいる場合、文化的な違いや役割認識の違い、待遇の不均衡などで対立が起こる場合があります。同じ職場ではなく、趣味の場や日本人の集まりなどで、違う会社の駐在員と現地採用者が混在する場合にも、争いが起こることもあります(集まる人々の性格にもよります。まったくそういうことが起こらず、平和に仲良く過ごせる場合もあります)。

趣味の場など、お互い違う会社に勤務している場合には遠ざかり、棲み分けすることが可能ですが、同じ会社の場合には逃げることもできません。そういう場合には、どちらの立場になったとしても、コミュニケーションを強化し、お互いの立場を尊重するようにしましょう

駐在員の中には、現地採用の人との違いをあたかも身分制度のように誤解して、高飛車に振る舞う人もいるのですが、そういった人からは遠ざかることをおすすめします。実際は現地が気に入って駐在員をやめ、別の会社に現地採用として転職したり、現地で起業したりする方もいます。また、大企業でも業績不振から急に撤退したり、駐在員を置かなくなることもありえます。「現時点」での立場の違いを過剰に大きくとらえることは避けましょう。

まとめ

50代で海外転職を検討している方にとって、駐在員として働くか、現地採用として働くかは大きな選択肢となります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自身のキャリアプランや生活設計に合った選択を行っていきましょう。

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