50代からの海外転職上級

日本の拠点をどうするか

海外に長期滞在する場合、日本の拠点をどうするかについて悩むことも多いのではないでしょうか。数年で日本に帰国することがあらかじめわかっている場合には考えやすいのですが、海外滞在がどれくらいの期間になるかわからない場合には、持ち家をどうするか、荷物をどこに置いておくかなど、悩ましいことも多いと思います。本記事では日本の拠点について考えるヒントをお伝えします。

拠点を維持するメリット・デメリット

拠点を維持することのメリットとデメリットについて挙げていきます。

メリット

帰国時の安心感
海外生活からの帰国を考えたとき、すでに住む場所があるという安心感は計り知れません。特に、長期間の滞在後に帰国する場合、新たに住居を探す手間やストレスを避けることができます。

資産価値の維持
不動産は価値の下がりにくい資産の一つです。拠点を維持することで、不動産価値の長期的な成長を期待できます。また、不動産市況が良好な場合、将来的に売却する選択も可能です。

個人的な拠点の確保
自宅があることで、個人的な物や記憶が詰まった場所を保持できるため、精神的な落ち着きや居場所を感じることができます。

デメリット

維持費用の発生
不動産を保有していると、固定資産税や管理費用、修繕費用など、定期的な出費が発生します。海外にいる間もこれらの費用は続くため、長期的な負担となり得ます。

管理の手間
長期間家を空ける場合、家の維持管理にはさまざまな課題が伴います。例えば、郵便物の管理、設備の故障時の対応、防犯対策など、遠隔地からこれらを管理するのは容易ではありません。

空き家問題
長期間家を空けることで、家屋の劣化が進む可能性があります。また、空き家は防犯上のリスクも高まります。定期的な点検やメンテナンスが必要となり、それには追加のコストや手間がかかります。

拠点をなくすメリット・デメリット

海外転職や長期滞在を機に、日本国内の拠点をなくす選択をする人も少なくありません。こちらにもメリットとデメリットがあります。

メリット

固定費用の削減
持ち家や長期の賃貸契約を解除することで、固定資産税や管理費、家賃などの定期的な支出をなくすことができます。海外生活においては、このような固定費用の削減が財務面での大きなメリットとなり得ます。

精神的な自由
物理的な拠点を持たないことで、精神的な束縛から解放される効果があります。所有物や住まいに縛られることなく、より自由なライフスタイルを追求することが可能になります。

移動の柔軟性
日本に拠点がないことで、海外での生活や転職における選択肢が広がります。帰国の義務感や負担を感じることなく、世界各地を転々とすることも容易になります。

デメリット

帰国時の住居確保の難しさ
日本に拠点がない場合、帰国時に住む場所を確保する必要があります。特に急な帰国の場合、適切な住居を見つけることが困難になる可能性があります。

荷物の保管問題
拠点をなくすと、個人の荷物をどこかに保管する必要が出てきます。実家や親戚の家に預ける、トランクルームを借りるなどの対応が必要となり、これには追加のコストや手間がかかります。

郵便物や公的手続きの問題
日本国内に住所がないと、郵便物の受け取りや各種公的手続きに支障が出ることがあります。転送サービスや代行サービスを利用することで解決も可能ですが、それには別途料金がかかります。

拠点をなくした場合の郵便物の扱い

日本国内の拠点をなくした場合、郵便物の扱いは大きな問題の一つです。住所がなくなることで、重要な書類や通知を受け取る手段が途絶えてしまいます。しかし、幾つかの対処法を用いることで、この問題を解決することが可能です。

郵便物の転送サービスの利用
日本郵便や他企業が提供する転送サービスを利用することで、特定の期間、旧住所から新住所へ郵便物を自動的に転送してもらうことができます。海外の住所への転送も可能なサービスもありますが、サービスによっては転送できる期間に制限があるため、注意が必要です。

郵便局の留め置きサービスの活用
郵便局では、郵便物を10日間間留め置いておくサービスを提供しています。日本国内に一時帰国する予定がある場合には、このサービスを利用して、帰国時に郵便局で郵便物をまとめて受け取ることも可能です。
詳細は郵便局のサイトをご確認ください。

信頼できる人に住所を貸してもらう
家族や親しい友人など、信頼できる人が日本国内にいる場合は、その住所を一時的な郵便物の受け取り先として利用させてもらうことも一つの方法です。ただし、この方法を選択する際には、その人に迷惑をかけないよう、郵便物の量や性質を考慮する必要があります

拠点をなくした場合の荷物置き場

日本の拠点をなくす際、多くの人が直面するのが、荷物をどこに保管するかという問題です。長期間の海外滞在では、荷物の保管方法を事前に計画しておくことが重要になります。以下では、荷物置き場の選択肢について詳しく説明します。

実家や親戚の家で預かってもらう
もし可能であれば、実家や信頼できる親戚の家に荷物を預けるのが一番手軽で経済的な選択肢です。しかし、これは荷物の量や、預け先のスペース、家族の了承を得られるかどうかに大きく依存します。荷物を預かってもらう場合は、保管場所を確保してもらうための配慮や、感謝の気持ちを示すことが大切です。

トランクルームを利用する
最近では、様々なタイプのトランクルームが提供されており、セキュリティが高く、気候コントロールされた環境で荷物を保管できます。料金は保管する荷物の量や保管期間、施設の設備によって異なりますが、長期間の保管が必要な場合には非常に便利な選択肢です。トランクルームを選ぶ際には、アクセスの利便性や料金、契約条件を事前に確認しましょう

荷物の整理や断捨離を行う
海外に長期滞在することを機に、荷物を整理し、本当に必要なものだけを残す断捨離を行うのも一つの方法です。不要な衣類や家具、雑貨などは売却、寄付、リサイクルすることで、荷物の量を減らし、保管にかかるコストと手間を削減できます。

筆者は断捨離派です。海外に出る際にはスーツケースに入る分だけを残し、他は知人に譲ったり、ジモティーやメルカリ、地方自治体の引き取りサービスなどを利用して整理します。本は電子書籍を利用するようにしています。

日本に一時帰国する頻度を考える

海外に長期滞在する際、日本に一時帰国する頻度を考えることは、日本国内の拠点をどうするか決定する上で非常に重要な要素となります。一時帰国の頻度によって、拠点の維持や荷物の保管方法、住所の取り扱いなど、様々な事項の選択肢が変わってきます。

頻繁に帰国する場合
もし年に何度も、あるいは定期的に日本に帰国する予定がある場合、日本国内に拠点を維持するメリットが高まります。帰国のたびに宿泊施設を探す手間やコストを考えると、自己の住居を保持しておく方が経済的であり、心理的な安心感も得られます。また、荷物を自宅に保管しておけば、帰国時に必要な物品を都度持ち運ぶ必要がなくなります。

たまにしか帰国しない場合
一方で、数年に一度程度の帰国や、未定で帰国の予定がない場合は、拠点を維持するコストと手間を考えると、拠点をなくす選択が合理的かもしれません。この場合、荷物はトランクルームに保管する、郵便物は転送サービスを利用するなど、拠点を持たない生活に適した対策を講じる必要があります。帰国時には、実家や友人の家に滞在する、あるいはホテルやウィークリーマンション、Airbnbを利用するなどといった選択肢が考えられます。


日本に一時帰国する頻度を見積もることで、海外生活の間、どのように日本国内の事務を処理するか、また、どの程度の費用を日本国内の拠点維持や荷物保管に割り当てるかを計画することができます。また、帰国頻度が低い場合でも、緊急時に備えて日本国内に連絡を取れる代理人を設定しておくなど、様々な事態に備えた準備が必要です。

持ち家を他人に貸す場合の注意点


海外への長期滞在を検討している際、自宅を空ける期間が長くなることから、持ち家を他人に貸す選択を考える人は少なくありません。しかし、自宅を貸し出す際にはいくつかの注意点があります。適切な準備と知識があれば、リスクを最小限に抑えつつ、不在中の家の有効活用が可能です。

適切な賃貸契約の締結
家を貸し出す際は、法律に基づいた適切な賃貸契約を締結することが重要です。契約内容には、賃料、支払い方法、契約期間、解約条件など、貸主と借主の権利と義務が明確に記載されている必要があります。また、家具や設備の使用条件についても契約書に盛り込むことで、トラブルの予防につながります。

信頼できる借主の選定
自宅を貸す場合、借主との信頼関係が非常に重要です。可能であれば、個人の紹介や信頼できる不動産会社を通じて借主を見つけることをお勧めします。事前に借主の背景や信用情報を確認することで、安心して貸し出すことができます。

リロケーションサービスの利用
留守宅となる自宅を期限つきの契約を用いて貸し出すリロケーションサービスを利用する方法もあります。管理費用や手数料が発生するため、費用と収益のバランスを事前に検討する必要があります。

定期的なメンテナンスや管理
家を貸し出す期間中も、定期的なメンテナンスが必要です。貸し出す前に、水回りや電気設備などの点検を行い、必要に応じて修理やメンテナンスをしておくことが望ましいです。また、管理会社に委託することで、不在中の家の管理や緊急時の対応を代行してもらうことも一つの選択肢です。

保険の見直し
自宅を貸し出す場合、火災保険などの保険内容を見直し、賃貸用の保険に加入することが重要です。借主が引き起こした事故や、賃貸中に発生した損害に対応できるよう、適切な保険に加入しておくことが望ましいです。

まとめ

海外滞在中の日本の拠点については、その人のライフスタイルや将来の計画によって最適な選択が異なります。拠点を維持する、なくすの両方にメリットとデメリットが存在します。自身の状況をしっかり分析し、最適な選択をすることが大切です。

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