50代からの海外転職上級

国内外いったりきたり転職のすすめ

海外転職というと、日本国外に出ていったきり日本にはもう戻らないというイメージがありますが、筆者は日本と海外を行ったりきたりして働いています(日本国内で働く→海外転職→また日本に戻って働く、など)。本記事ではこのような「いったりきたり転職」のメリットについてご紹介します。

海外と日本国内の両方で働くことのメリット・デメリット

メリット

幅広いスキルセットの獲得
海外で働くことにより、グローバルなビジネス環境でのコミュニケーション能力や問題解決スキルが身につきます。日本国内での勤務では、細やかなサービス精神やチームワークを重んじる文化から、精密なプロジェクト管理能力を磨くことができます。

多文化理解の深化
アメリカやヨーロッパ、アジア各国での勤務経験は、異なる文化背景を持つ人々との交流を通じて、国際感覚を養います。これらの経験は、日本国内の職場で国際的なプロジェクトを手掛ける際に、大きな強みとなります。

キャリアの多様性
海外での勤務経験は、特に50代の転職市場において、他の候補者との差別化を図るための貴重な資産となります。国内外の多様な業界で活躍することで、自身のキャリアをより柔軟に構築できます。

デメリット

言語や文化への適応
海外での生活や仕事では、現地の言語を学ぶ必要があり、初期段階ではコミュニケーションの壁に直面することがあります。また、ビジネス慣習や生活習慣の違いに適応するためには、時間と努力が必要です。

家族との時間の制約
家族が日本にいる場合、海外転職を繰り返すことで、家族と離れて過ごす時間が長くなるというデメリットもあります。特に子供の教育や配偶者のキャリアに影響を及ぼすことがあり、家族全員でのサポート体制の構築が求められます。

職場でのアイデンティティの確立
国内外での転職を繰り返すことは、職場でのアイデンティティの確立を難しくすることがあります。海外の職場では「日本人」としての役割が求められる一方で、日本に戻ると「海外経験者」として特別な期待を持たれることがあり、どちらの職場においても自分をどう位置づけるかについて工夫が必要です。個人的には、入社時に過度な期待を持たれて後から幻滅されないよう、転職面接の際にざっくばらんに話すようにしています(それで入社できない場合には分不相応な会社ですので、あきらめます)。

期間を区切ればしんどさに耐えられる

海外転職や国内での新たな挑戦を考える際、特に50代の場合、仕事の厳しさや新しい環境への適応の難しさが不安要素となることがあります。しかし、これらの挑戦を一定の期間で区切ることで、精神的な負担を軽減し、目標に向かって前向きに取り組むことが可能になります。

海外勤務の場合
例えば、海外での勤務を3年間のプロジェクトと位置付けることで、その期間中に特定のスキルを習得する、特定の成果を上げるといった明確な目標を設定することができます。期間限定であるという認識は、一時的なストレスや困難な状況に対しても「これもいつかは終わる」という耐性を持たせてくれます。

国内転職の場合
国内で新たなキャリアに挑戦する場合でも、最初の1~2年を試験期間と考え、その間に新しい業界や職種での適性を確かめるというアプローチが有効です。この期間中に目標を達成できなかったり、思っていた職場環境と異なる場合でも、次のステップに進むための貴重なデータとして活用できます。

精神的な負担の軽減
期間を区切ることで、長期間にわたる不確実性や恐怖に対処するための心理的な準備ができます。また、区切った期間の終わりには、自己評価やキャリアプランの再検討の機会を設けることができ、自身の成長と次のステップへのモチベーションにつながります。

日本企業に海外の視点を持ち込む

海外での経験を通じて得た視点や知識を日本企業に持ち込むことは、組織のイノベーションとグローバル化を推進する上で非常に価値があります。以下に、海外の視点を日本企業に持ち込む具体的な例とその影響を解説します。

新しいビジネスモデルの提案
海外で見たサブスクリプションモデルやシェアリングエコノミーなど、日本市場でまだ一般的ではないビジネスモデルを提案することで、新たな事業機会の創出に貢献します。これにより、企業は従来のビジネスから一歩踏み出し、新しい顧客層の獲得や収益源の確保が期待できます。

ワークスタイル改革の推進
海外でのフレキシブルな勤務体系やリモートワークの普及状況を踏まえ、日本企業におけるワークスタイル改革の提案を行います。これにより、従業員の働きがいや生産性の向上はもちろん、多様な人材の活用が進みます。

多様性やインクルージョンの推進
海外での多文化共生の経験を生かし、職場における多様性とインクルージョン(包摂)の重要性を訴えることで、企業文化の変革を促します。性別、年齢、国籍にとらわれない柔軟な組織運営は、クリエイティビティの向上や国際競争力の強化に寄与します。

グローバルマーケットへの進出支援
海外での勤務経験を活かして、日本企業の海外市場進出の際にアドバイスできます。現地の市場環境や消費者のニーズを理解しているため、マーケティング戦略の策定や現地でのビジネスパートナーとの交渉において、有効なアドバイスを提供できます

海外企業に日本の視点を持ち込む

日本から海外への転職は、日本特有の働き方や文化、価値観を国際舞台に持ち込む絶好の機会です。以下は、海外企業に日本の視点を持ち込む例とその影響についての詳細です。

精密な品質管理の導入
日本の製造業で培われた、細部にわたる品質管理や改善(カイゼン)のプロセスを海外企業に導入します。これにより、製品の品質向上はもちろんのこと、生産効率の改善やコスト削減にも繋がります。特に、自動車産業や電子機器製造業での経験は、海外の同業他社との差別化要因となり得ます。

サービス精神の浸透
日本独特のおもてなしの心や、顧客第一主義を海外のサービス業に導入することで、顧客満足度の向上に貢献します。レストランやホテル業界で、細やかな気配りや高いサービスレベルを実践することは、ブランドイメージの向上やリピーター獲得に直結します。

効率的な会議運営の提案
日本企業での効率的な会議運営や決定プロセスを海外企業に提案します。明確なアジェンダ設定、時間管理、参加者全員の意見を尊重する文化などは、海外企業の意思決定のスピードやプロジェクト進行の効率化に貢献します。

日本市場への進出支援
日本の市場環境や消費者の嗜好に精通していることを活かし、海外企業の日本市場への進出を支援します。現地の文化や法規制を理解したマーケティング戦略や商品開発は、成功の確率を高めます。また、日本特有のビジネスエチケットを伝えることで、スムーズなビジネス展開を促進します。

まとめ

国内外いったりきたりの転職は、キャリアの多様化だけでなく、個人の成長にも寄与します。期間を区切ることで心理的な負担を管理しつつ、異文化間の架け橋としての役割を果たすことは、これからの時代においてますます重要性を増していくでしょう。海外転職を含むキャリアプランを立てる際には、長期的な視野を持ち、自分にとって最適な働き方を見つけ出すことが大切です。

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